- 頼み方の原則が「言い回し」ではなく「机に何を置くか」の問題であり、モデルが変わっても通用する理由を説明できる
- 依頼に入れるべき6つの要素(目標・背景・制約・判断基準・完了条件・報告のしかた)と、欠けたときに起きる失敗が分かる
- 書きすぎの害を理解し、1回で完成させずに質問・計画・途中確認を使って頼み方を育てていける
12.1頼み方とは「机に最初に置く文章」を決めること
エージェントに仕事を頼むとき、私たちがしていることを第1部の言葉で言い直してみましょう。佐藤さんが書いた依頼文は、机(コンテキスト)の上に置かれます。頭脳(言語モデル)は、ループの1周ごとにその机を最初から読み直し、次の一手を選びます(第5章)。
第5章の表5-1で見たように、机の上には運用者の指示、これまでのやりとり、道具の結果などさまざまなものが載ります。その中で、利用者が直接決められるのは「依頼」の部分だけでした。つまり、頼み方を考えるとは、机に最初に置く文章を決めることにほかなりません。
そして、この文章を考えるうえで最も大事な事実は、第6章の「もう一歩深く」で見たものです。人間同士なら、職場の空気や過去の経験から、言われていない前提を補って動けます。頭脳にはそれができません。頭脳は、机にないことを知らないのです。知らない部分は、もっともらしい一般論で埋められます。
こう考えると、頼み方の原則は、新しく覚えるものではないことが分かります。職場の事情をまったく知らない人に、初めて仕事を頼むときと同じです。たとえば、別の部署から応援に来てくれた人や、外部の協力会社に仕事を出すときを思い浮かべてください。何のための仕事か、どこまでやればよいか、してはいけないことは何か。普段なら言わずに済ませていることも、言葉にして渡すはずです。
この原則が、モデルが変わっても通用する理由もここにあります。頭脳がどれほど賢くなっても、机に載っていない事情を知る方法はありません。上司が来月の会議で何を議論したいのかは、上司の頭の中にしかないからです。賢さが補えるのは「書かれたことを正しく読む力」であって、「書かれていないことを知る力」ではありません。
12.2渡すべき6つの要素
では、机に何を置けばよいのでしょうか。人に仕事を頼むときに伝えていることを整理すると、次の6つの要素になります。
- ① 目標:何のための仕事か。できたものを誰が、何に使うのか。
- ② 背景:なぜ今この仕事なのか。前提として知っておくべきこと。
- ③ 制約:してはいけないこと。対象の範囲や期間。
- ④ 判断基準:迷ったときに何を優先するか。たとえば「網羅より正確さ」。
- ⑤ 完了条件:どこまでやれば終わりか(第6章)。
- ⑥ 報告のしかた:出典の示し方、確認できなかったことの書き方、成果物の形式。
6つの要素は、どれも机に載り、毎周読み直されます。ただし、特に効いてくる場面はそれぞれ違います。
佐藤さんの依頼に当てはめ、それぞれが欠けたときに何が起きるかを並べたのが表12-1です。右端の列は、第9章で整理した失敗の型との対応です。
| 要素 | 佐藤さんの依頼での例 | 欠けると起きること(第9章の型) |
|---|---|---|
| ① 目標 | 来月の企画会議で、自社の新サービスの位置づけを議論する材料にする。読むのは部長と企画部のメンバー | 比べる項目を思いつきで決め、会議で使えない表になる(取り違え)。第3章の手4で起きたこと |
| ② 背景 | 自社は来春、法人向けの新サービスを始める予定。主要5社とはA社〜E社のこと | 「主要5社」を売上順など別の基準で選ぶ。似た社名の別会社を拾う(取り違え) |
| ③ 制約 | 対象は直近1年の発表。公開情報だけを使う。どこにも送らない | 古い発表を拾う、頼んでいない送信をする(やりすぎ)。第4章でいう取り返しのつかない道具を使ってしまう |
| ④ 判断基準 | 網羅より正確さ。公式発表を優先し、見つからなければ空欄でよい | 表を埋めることを優先し、不確かな記事や推測で穴を埋める(作り話)。第3章の手11で起きたこと |
| ⑤ 完了条件 | 5社すべてが「記入済み」か「未確認」になり、依頼と照らして見直したら完了 | 調べ続けて止まらない(堂々巡り)、形がそろった時点で終える(早すぎる完了) |
| ⑥ 報告のしかた | 各行に出典と日付を添える。確認できなかったこと、進め方を変えたことを最後にまとめる | 成果物の見た目から、どの行が確かでどの行が危ういかが分からない。確かめる手がかりがなくなる(第11章) |
この表を眺めると、第3章で追った作業記録の「要注意」の箇所の多くが、依頼の段階で机に載っていなかった情報に行き着くことが分かります。エージェントは手を抜いたわけではありません。机に載っていない基準では、判断のしようがなかったのです。
12.3悪い頼み方を、良い頼み方に書き換える
実際に書き換えてみましょう。まず、佐藤さんが最初にエージェントに渡した依頼です。上司から言われた言葉を、ほぼそのまま渡しています。
業界の主要5社が最近出した新サービスを調べて、比較表と1枚の要約にまとめてください。「主要」「最近」「新サービス」の範囲、比べる項目、何に使うのか、情報が見つからないときの扱いは、どれも佐藤さんと上司の頭の中にしかない
次に、6つの要素を入れて書き換えたものです。普段、同僚に仕事を頼むときのメールと同じように、ふつうの日本語で書いています。左の見出しは、どの要素にあたるかを示すために付けたもので、依頼文の一部ではありません。
来月の企画会議で、当社が準備中の新サービスを業界の中でどう位置づけるかを議論します。その材料として、主要5社が直近1年に発表した新サービスを調べ、比較表と1枚の要約にまとめてください。読むのは部長と企画部のメンバーです。
当社は来春、法人向けの新サービスを始める予定です。今回の主要5社は、A社・B社・C社・D社・E社を指します。E社には社名の似た別会社があるので、所在地や事業内容で本人かどうか確かめてください。
使うのは公開されている情報だけにしてください。調べた結果をどこかに送ったり、公開したりはしないでください。できあがったら私が確認します。
今回は、網羅することより正確であることを重視します。各社の公式発表を優先し、見つからない場合はほかの記事で埋めずに「未確認」として空けておいてかまいません。
比較表は、社名・サービス名・開始時期・価格帯・特徴の5列にしてください。要約は1枚に収め、当社の企画にとって注目すべき点を3つほど挙げてください。5社すべてが記入済みか「未確認」になり、この依頼と照らして見直しが済んだら完了です。
各行には出典(発表元と日付)を添えてください。確認できなかったことと、途中で進め方を変えたことがあれば、最後にまとめて書いてください。始める前に、進め方の案と分からない点を先に教えてください。
書き換え後の依頼は、決して長くありません。6つの段落は、どれも2〜3文です。特別な書式も、決まった言い回しも使っていません。違うのは、上司と佐藤さんの頭の中にあった前提を、文字にして机に置いたことだけです。
書き換えたそれぞれの部分が、第3〜11章で見たどの失敗を防ごうとしているのかを整理すると、表12-2のようになります。
| 書き加えた部分 | 防ごうとしている失敗 | 関係する章 |
|---|---|---|
| 会議で位置づけを議論する | 比べる項目を思いつきで決め、上司の知りたいこととずれる | 第3章(手4)、第6章 |
| A社〜E社、直近1年 | 「主要」「最近」を一般論で解釈する。2年前の発表を拾う | 第3章(手6)、第6章 |
| 社名の似た別会社に注意 | 別会社の情報で表の1行を埋める | 第3章(手12)、第9章 |
| 送らない・公開しない | 取り返しのつかない行動を、頼まれていないのに実行する | 第4章、第8章 |
| 公開情報だけ、出典を添える | 読んだ文章に紛れた指示や不確かな情報が、そのまま成果物に混ざる | 第10章、第11章 |
| 記事で埋めず「未確認」に | 行を埋めるために、確かさの違う情報で代用する | 第3章(手11)、第9章 |
| 5列、要約は1枚 | 途中で列が増える、要約が2枚になる | 第5章、第6章 |
| 完了の条件と見直し | 調べ続けて止まらない、形がそろった時点で終える | 第3章(3.5節)、第6章 |
| 先に進め方の案を見せる | 暗黙の前提の埋め方のずれに、作業の後で気づく | 第6章(6.6節) |
ひとつ注意しておきたいのは、依頼に書いたからといって、最後まで守られる保証はないということです。第5章で見たように、長い作業では「5列」のような細かい条件が、要約の際に机から落ちることがあります。また、第10章で見たように、読んだ資料の中の文章が判断に影響することもあります。良い依頼は失敗を起きにくくしますが、なくすわけではありません。だからこそ、6つめの「報告のしかた」で確かめる材料を出させ、第11章の確かめる仕組みと組み合わせるのです。
12.4「目的」を伝える価値
6つの要素のうち、最も省かれやすく、しかも最も効くのが①の目標、とりわけ「何のための仕事か」という目的です。
最初の依頼文には、「調べて、比較表と要約にまとめる」という手段しか書かれていませんでした。手段だけが机にあると、エージェントにとっての目標は「比較表と要約を完成させること」になります。すると、第3章の手11のように、表の5行目を埋めることそのものが優先されます。手段が目的にすり替わる、第9章でいう取り違えが起きやすくなるのです。
目的が机にあると、事情が変わります。依頼文には書ききれない想定外の場面でも、エージェントは目的に照らして筋の通った判断をしやすくなります。書き換え後の依頼で同じ場面を迎えたときの作業記録を見てみましょう。
D社の新サービスについて、公式発表が見つからない。業界ニュースの記事が1件だけある。検索の言葉を変えて2回試した結果
依頼の目的は、会議で当社の位置づけを議論すること。判断基準は「網羅より正確さ」。記事だけを根拠に表を埋めると、会議で不確かな情報が事実として扱われるおそれがある。目的と判断基準が机に載っているので、それを拠り所に選んでいる
D社の行は「公式発表は未確認」とする。記事の内容は表に入れず、報告の注記に「報道による情報」として出典と日付つきで分けて書く。
E社は直近1年に、個人向けと法人向けの2つの新サービスを発表していた。比較表は1社1行。依頼文には、この場合の扱いは書かれていない
当社が準備しているのは法人向け。議論の材料としては、法人向けのほうが近い。ただし、どちらを載せるかは会議の論点に関わるので、自分だけでは決めきらない。
法人向けを表に載せ、報告に「E社は個人向けも発表あり。法人向けを選んだ理由と、差し替えの要否を確認したい」と加える。
E社が2つのサービスを出しているという事態は、佐藤さんも予想していませんでした。依頼文にも書かれていません。それでもエージェントが筋の通った選択をできたのは、「当社は法人向けを準備中で、その位置づけを議論したい」という目的と背景が机に載っていたからです。
人間の仕事でも同じことが言えます。「この資料を10部コピーして」とだけ頼まれた人は、原稿の誤字に気づいてもそのままコピーするかもしれません。「午後の取引先との打ち合わせで配る資料だから」と聞いていれば、誤字を指摘してくれるでしょう。手段は、想定どおりの場面でしか役に立ちません。目的は、想定外の場面での判断の拠り所になります。
目的には、もうひとつ効用があります。第3章で、エージェントの「完了」は自分の判断にすぎず、形がそろったことだけを根拠にしがちだと見ました。目的が机にあれば、完了を判断するときにも「この表で会議の議論ができるか」という物差しを使えます。形の完了ではなく、目的に照らした完了に近づけられるのです。
手段だけを伝えると、手段が目標になる。目的を伝えると、手段を目的に合わせて選び直せるようになる。
12.5書きすぎの害
ここまで読むと、「とにかく詳しく、たくさん書けばよい」と思うかもしれません。しかし、依頼文は長ければ長いほど良いわけではありません。書きすぎには、少なくとも3つの害があります。
大事なことが埋もれる
第5章で見たように、机に載る情報が多いほど、頭脳は大事な一文に注意を向けにくくなります。念のための注意書き、過去の経緯、あまり関係のない補足を並べていくと、「公式発表を優先し、なければ空欄でよい」という肝心の一文が、その中に埋もれてしまいます。依頼文は毎周読み直されるので、長い依頼文は時間と費用の面でも割高です(第13章)。
指示どうしが矛盾する
思いつくことを足していくと、互いにぶつかる指示が紛れ込みます。「漏れなく網羅的に」と「正確さを優先して」、「詳しく書いて」と「1枚に収めて」。人間なら頼んだ人に聞き返しますが、エージェントはどちらかを選んで進めるかもしれません。どちらを選ぶかはその場の判断で、毎回同じとは限りません。運用者があらかじめ置いた指示と食い違う場合も同じです(第5章)。矛盾した指示は、判断をぶれさせる原因になります。
細かすぎる手順が、エージェントの利点を殺す
「まずA社の公式サイトを開き、次にお知らせのページを開き、次に……」と手順を細かく書き込むと、エージェントは手順に沿うAIに近づきます。第1章で見たように、エージェントの利点は、途中の結果を見て進め方を自分で選べることでした。手順で縛れば、その利点は失われます。しかも、書いた手順が合わない場面(D社にお知らせのページがない、など)に出会うと、手順どおりに進めようとして無理をするか、止まってしまいます。
では、どこで線を引けばよいのでしょうか。目安になるのは、「何を・なぜ・どこまで」はしっかり書き、「どうやって」は理由があるときだけ書くという分け方です。目的、背景、してはいけないこと、迷ったときの優先順位、終わりの条件は、エージェントが自分では知りようのない情報です。一方、どのページを開き、どの順に検索するかは、エージェントがその場で選べます。
「公式発表を優先する」は一見すると手順のようですが、これは「確かさを重視する」という判断基準を具体的に言ったものです。理由のある「どうやって」なので、書く価値があります。反対に、理由を説明できない細かい手順は、書かないほうがうまくいくことが多いでしょう。
依頼文の目安は「必要なことを、必要なだけ」。足すときは、その一文がなければどんな失敗が起きるかを言えるかどうかで判断する。
12.61回で完成させなくていい
6つの要素を、最初の1回で完璧に書ききる必要はありません。人に仕事を頼むときも、最初に一通り伝え、相手の質問に答え、途中で様子を見ながら進めるはずです。エージェントでも、同じ進め方ができます。
- 最初に、分からない点を質問させる:書き換え後の依頼の最後の一文がこれです。エージェントが「主要5社に子会社は含めますか」と聞いてくれば、自分が書き忘れていた前提に気づけます。机にないことを知らないのはエージェントの性質ですが、知らないと気づかせることはできます。
- 計画を先に出させて確認する:第6章で見たように、計画にはエージェントが依頼をどう理解したかがそのまま表れます。目標の解釈、範囲、完了条件、取り返しのつかない作業の有無の4点を見れば、依頼の伝わり方を作業の前に確かめられます。
- 途中で見せてもらう:第3章で見た、人が介入できる3つの時点のうちの「途中」です。3社分を調べた時点で比較表の下書きを見せてもらえば、比べる項目のずれに早く気づけます。早い誤りほど安く直せるのは、第6章で見たとおりです。
そして、うまくいった頼み方はひな形として残しておきます。6つの要素の見出しだけを並べた枠を用意しておき、次に似た調査を頼むときは、中身を書き換えて使います。
ひな形は、作ったら終わりではありません。失敗が起きたら、その原因に対応する一文を足して直していきます。たとえば、E社の取り違えが起きたあとなら、ひな形の「背景」に「社名の似た会社がないか確かめる」を加えます。逆に、毎回書いているのに一度も効いた覚えのない注意書きは、12.5節の「書きすぎ」を防ぐために削ります。
これは、第9章で見た「人と仕組みが学ぶ」という考え方の具体的な形です。第5章の「よくある誤解」で見たとおり、頭脳そのものは会話によって書き換わりません。昨日の失敗から学んで、今日の頭脳が賢くなるわけではないのです。失敗から学ぶのは、頼み方を直す人と、そのひな形です。ひな形が育つほど、誰が頼んでも同じ品質の依頼を机に置けるようになります。
エージェントがうまく動く「魔法の言い回し」がある。それを知っているかどうかで結果が決まる。
言い回しによって結果が多少変わることはあります。しかし、そうした差は特定のモデルの癖に左右されやすく、モデルが変われば通用しなくなることもあります。何より、どんな言い回しを使っても、机に載っていない事情をエージェントが知ることはできません。
結果を大きく左右するのは、言い方ではなく中身です。目的、背景、制約、判断基準、完了条件、報告のしかた。この6つが机に載っているかどうかは、どのモデルを使っていても効きます。言い回しを探す時間があるなら、上司が本当に知りたいことは何かを確かめるほうが、ずっと確実に結果を良くします。
頼み方が上手な人は、エージェントにも上手に頼める──逆も成り立つ
この章で挙げた6つの要素は、どれもエージェントのために新しく考え出されたものではありません。仕事の頼み方が上手な人は、もともとこれらを自然に伝えています。何のための仕事か、なぜ今なのか、何をしてはいけないか、迷ったら何を優先するか、どこまでやれば終わりか、どう報告してほしいか。こうした人に仕事を頼まれると、受け手は迷わずに動けます。
エージェントへの頼み方が難しく感じられるのは、人間の受け手が黙って補ってくれていた部分が、エージェントでははっきりと抜け落ちて見えるからです。人間の部下は、あいまいな依頼でも、職場の空気や質問でなんとか形にしてくれます。その分、頼む側は自分の頼み方の弱点に気づきにくいのです。エージェントは、補えなかった部分を一般論で埋めた成果物として、その弱点をそのまま返してきます。
だからこそ、エージェントへの頼み方を練習することは、人への仕事の渡し方を見直すことにもなります。エージェントが取り違えたとき、「同じ依頼を、事情を知らない人に渡していたらどうなったか」と考えてみてください。多くの場合、人間でも同じところで迷ったはずです。その気づきは、エージェントへの依頼だけでなく、部下や同僚、協力会社への頼み方も良くしてくれます。
確認確認問題
この章で説明した頼み方の原則が、モデルが変わっても通用する理由として最も適切なのはどれですか。
解説を見る
頭脳が賢くなって伸びるのは「書かれたことを正しく読む力」です。上司が会議で何を議論したいかのような、机に載っていない事情を知る方法はありません。頼み方の原則は言い回しではなく、何を机に置くかの問題なので、モデルが変わっても通用します。
D社の公式発表が見つからないという想定外の場面で、エージェントに筋の通った判断をさせるのに最も役立つのはどれですか。
解説を見る
想定外の場面は、手順には書ききれません。目的と判断基準が机にあれば、エージェントはそれを拠り所に選べます。「必ず埋める」と強調すると、不確かな記事で穴を埋める方向へ押してしまいます。
よく使う依頼のひな形の扱い方として、最も適切なのはどれですか。
解説を見る
頭脳は会話で書き換わらないので、失敗から学ぶのは人とひな形です。ただし、足すだけでは大事な条件が埋もれ、指示どうしの矛盾も生まれます。「必要なことを、必要なだけ」に保つよう、足すことと削ることの両方が必要です。
この章のまとめ
- 頼み方とは、机に最初に置く文章を決めること。頭脳は机にないことを知らないので、原則は事情を知らない人に仕事を頼むときと同じ。
- 依頼に入れる要素は、目標・背景・制約・判断基準・完了条件・報告のしかたの6つ。欠けると、取り違え・作り話・やりすぎ・堂々巡り・早すぎる完了などが起きやすくなる。
- 良い依頼は特別な書式や言い回しではなく、頭の中の前提を文字にしたもの。ただし書いても机から落ちることはあるので、確かめる仕組みと組み合わせる。
- 目的を伝えると、想定外の場面でも目的に照らした判断がしやすくなり、「完了」の判断も形だけでなく中身に近づく。
- 書きすぎは、埋もれ・矛盾・手順による縛りを生む。「何を・なぜ・どこまで」は書き、「どうやって」は理由があるときだけ書く。
- 1回で完成させず、質問させる・計画を先に見る・途中で見せてもらう。ひな形を残し、失敗に合わせて足したり削ったりして育てる。