- 仕事の中身を「機械的に確かめられる」「元の資料に当たれば確かめられる」「人の判断が要る」の3段に分け、任せやすさとの関係を説明できる
- 人が見る・別の方法で確かめる・点検役に確かめさせる、の3つの確かめ方の得意・不得意を知り、組み合わせを考えられる
- 全部を見ずに重点と抜き取りで確かめる考え方と、繰り返し任せる仕事のために「問題集」を持つ意味が分かる
11.1確認はなくせない
第3章で、佐藤さんのエージェントは「比較表と要約が完成しました」と報告して作業を終えました。そのとき確かめたのは、「完了」はエージェント自身の判断にすぎないということでした。成果物がそろったことと、中身が正しいことは別です。実際、比較表のD社の行は公式発表ではなく業界ニュースの記事をもとにしており、E社の行は一歩間違えば似た社名の別会社の情報になるところでした。
こうした誤りは、たまたま起きたものではありません。第2章で見たとおり、頭脳(言語モデル)は「確からしい続き」を選ぶ仕組みなので、作り話はゼロにはなりません。第9章では、エージェントの間違え方には決まった型があることを整理しました。頭脳がどれほど賢くなっても、間違えることを前提に使うという姿勢は変わりません。だから、確認はなくせません。
一方で、確認には手間がかかります。佐藤さんが5社の情報をすべて自分で調べ直したら、最初から自分で調べたのとほとんど同じ手間になります。それでは任せた意味がありません。
ここで陥りやすいのが、「全部を見る」か「何も見ない」かの二択です。どちらも、実は確認を設計していない状態です。全部を見ようとすれば疲れて肝心な所を見落とし、何も見なければ誤りがそのまま上司に届きます。
確認の目的は、確認をなくすことではありません。限られた確認の手間を、いちばん効く場所に集めることです。
この章では、そのための考え方を順に組み立てていきます。まず、仕事の中身によって確かめやすさが違うことを見ます(11.2節)。次に、確かめる方法を3つに分けて比べます(11.3節)。そのうえで、何を見るか(11.4節)、どこまで見るか(11.5節)を考え、最後に、繰り返し任せる仕事のための仕組みを扱います(11.6節)。
11.2確かめやすい仕事・確かめにくい仕事
同じ比較表の中にも、確かめやすい部分と確かめにくい部分が混ざっています。確かめやすさで分けると、大きく3つの段に分かれます。
段1 機械的に確かめられる
5社の行がそろっているか、日付が依頼の範囲に入っているか、合計や件数が合っているか、決まった形式になっているか。こうしたことは、決まった手順にすれば、誰がやっても同じ答えになります。人が目で見てもよいのですが、手順として書き出せるので、仕組みに任せることもできます。
段2 元の資料に当たれば確かめられる
表に書かれたサービス名や開始時期が発表文と一致しているか、引用が原文どおりか、数字がどこから来たのか、E社の情報が本当にE社のものか。これらは、出典となった資料を開いて照らし合わせれば、答えは1つに決まります。ただし、資料を開いて読む手間がかかり、出典が分からなければ確かめようがありません。
段3 人の判断が要る
比較の軸が上司の目的に合っているか、要約の結論が妥当か、文章が読みやすいか、何を強調すべきか。これらには、正解が1つに決まっていません。仕事の目的や、読む人の事情を知っている人にしか判断できない部分です。
図11-1で大事なのは、1つの成果物を、確かめやすさの段ごとに分けて見られるということです。比較表を「1つのもの」として確かめようとすると、どこから手をつければよいか分からなくなります。段ごとに分ければ、段1は手順に任せ、段2は資料と照らし合わせ、段3だけを人がじっくり考える、という分担ができます。
この3段は、仕事を任せるかどうかの物差しにもなります。比較表を作るのは手間のかかる仕事ですが、「5行そろっているか」は一目で分かります。一方、要約の結論が妥当かどうかを確かめるには、自分で考え直すのとほとんど同じ手間がかかります。つまり、作るより確かめるほうが簡単な仕事ほど、任せやすいのです。確かめるのに作るのと同じ手間がかかる仕事は、任せても手間が減りません。この物差しは、第14章「任せる仕事の選び方」で改めて使います。
11.33つの確かめ方
確かめやすさの段が分かったら、次は「どうやって確かめるか」です。確かめ方は、大きく3つに分けられます。
確かめ方1 人が見る
いちばん素朴な方法です。人は、仕事の目的や、読む人の事情を知っています。「上司はこの表を何に使うのか」を踏まえて、足りないものや違和感に気づけるのは人だけです。段3の判断には、人の目が欠かせません。
ただし、人は大量の単調な照合が苦手です。5社分の日付を1つずつ見比べるような作業を続けると、集中が切れて見落とします。そして、手間がいちばん大きい方法でもあります。
確かめ方2 別の方法で確かめる
エージェントが作ったのとは別の道筋で、同じ答えにたどり着けるかを確かめる方法です。たとえば、次のようなものがあります。
- 決まった手順での機械的なチェック:行の数、日付の範囲、空欄の有無などを、手順どおりに確かめる。
- 検算:表の合計や件数を、別のやり方で数え直して一致するかを見る。
- 出典の原文を開く:表に書かれた内容が、出典の資料に本当に書いてあるかを照らし合わせる。
この方法の強みは、頭脳の判断に頼らないことです。決まった手順は毎回同じように働き、作り話をしません。第2章で「一貫性が欠かせない部分は、決まった手順や機械的に確かめる仕組みで支える」と述べたのは、このことです。その代わり、手順に書いていないことは見ませんし、段3のような判断はできません。
確かめ方3 点検役に確かめさせる
第7章で見た「点検役つき」の形です。作る役とは別のエージェントに、成果物を確かめさせます。人の手間をかけずに、量の多い文章を読ませて気になる箇所に印をつけさせる、といった使い方ができます。
ただし、第7章の「もう一歩深く」で見たとおり、同じ頭脳に同じ情報を渡すと、同じ所を見落としやすくなります。点検役を生かすには、見る観点を変える(「各行に出典と日付があるか」だけを見させる)、渡す情報を変える(作る役の途中の考えではなく、元の依頼と成果物だけを渡す)といった工夫が要ります。また、点検役も頭脳である以上、点検役自身が誤った指摘をすることもあります。
| 確かめ方 | 得意なこと | 苦手なこと | 手間 |
|---|---|---|---|
| 人が見る | 目的に合っているか、何が足りないかの判断(段3)。違和感に気づく | 大量・単調な照合。慣れによる見落とし(章末で扱う) | 大きい |
| 別の方法で確かめる | 答えが1つに決まること(段1・段2)。毎回同じ確かさで確かめる | 手順に書いていないこと。判断が要ること | 最初に手順を決める手間。照合は資料を開く手間 |
| 点検役 | 量の多い文章の一次点検。観点を絞った見落とし探し | 作る役と同じ思い込み。点検役自身の誤り。最終の判断 | 人の手間は小さいが、費用と時間がかかる(第13章) |
表11-1を見ると、どの方法にも苦手があることが分かります。だから、組み合わせるのが基本です。佐藤さんの比較表なら、まず機械的なチェックで行の数と日付を確かめ、次に点検役に「表の各項目が出典の記載と一致するか」を見させて食い違いに印をつけさせ、最後に人が、印のついた所と比較の軸を見る、という流れが考えられます。
組み合わせ方の目安は、下の段で拾えるものは下の段で拾い、人の目は上の段に残しておくことです。人の注意力は限られています。日付の照合に使い果たしてしまうと、いちばん人にしかできない「目的に合っているか」の判断が手薄になります。
11.4何を見るか──結果・根拠・過程
確かめる対象は、成果物だけではありません。見るものは3つあります。
- 結果:成果物そのもの。比較表と要約です。
- 根拠:それぞれの記述がどこから来たか、つまり出典です。
- 過程:どういう道筋で作られたか。第3章で読んだ作業記録です。
第3章の「よくある誤解」で見たように、結果だけを見ても、それがどう作られたかは分かりません。根拠がなければ段2の照合ができず、過程が見えなければ方針の変更や繰り返しに気づけません。3つがそろって、はじめて「どこまで信用してよいか」を判断できます。
ここから、任せる側が前もってしておくべきことが見えてきます。確かめられる形で作らせることです。具体的には、次の2つが大切です。
- 出典と取得日を必ず残させる:どの資料のどこから取ったかに加え、いつその資料を見たかも残させます。ウェブのページは後から書き換わることがあるので、見た日付がないと、照合したときの食い違いが「誤り」なのか「その後の更新」なのか区別できません。
- 未確認は未確認と書かせる:第6章で、エージェントがD社の欄に「報道1件のみ・未確認」と書いた場面を見ました。分からない所が分からないと書かれていれば、人はそこを重点的に見られます。逆に、未確認の所がほかと同じ体裁で埋まっていると、確かめる側はどこを疑えばよいか分かりません。
確かめる仕組みの半分は、確かめる時点ではなく、頼む時点で決まっているのです。どう頼めばこうした形で作ってもらえるかは、第12章「頼み方の原則」で扱います。
それでは、出典つきで作られた比較表を、佐藤さんがどう確かめるかを追ってみましょう。11.2節の3段を、下から順に上っていきます。
段1 表にA社〜E社の5行がそろっているか、空欄がないかを確かめる。5行あり、空欄もない。決まった手順で確かめられる。誰がやっても同じ結果になる。
段1 発表日が依頼の範囲(直近1年)に入っているかを確かめる。4社は範囲内。D社だけ発表日の記載がない。範囲外または日付なしの行に印をつける。ここで印がついた所が、次の段の重点になる。
段2 A社〜C社の出典を開き、サービス名と開始時期が原文と一致するかを見る。3社とも一致。出典と取得日が残っているので、すぐに原文に当たれる。
段2 D社の出典を開く。公式発表ではなく、業界ニュースの記事だった。記事には「〜と見られる」という書き手の推測が含まれている。表の体裁は他の4社と同じで、表だけを見ていては分からなかった。第3章の手11で代用した情報源。
段2 E社の出典を開き、発表文の社名と所在地を、依頼で示された会社と照らし合わせる。一致した。第3章の手12で、似た社名の別会社の情報を拾いかけた箇所。固有名詞は一致して見えても取り違えが起きやすいので、念のため当たった。
段3 比較の軸(サービス名・開始時期・対象顧客・特徴)は、上司の目的に合っているか。上司はこの表を次の企画の参考にしたいと言っていた。価格の列がないと、判断の材料として弱い。機械的なチェックでも照合でも見つからない。「何が足りないか」は、目的を知っている人にしか分からない。
D社の行と要約に「出典は業界ニュース記事。公式発表は見つからず」と注記させる。あわせて、価格の列を加えるよう頼み直す。
確認を終える。佐藤さんが自分の目でじっくり見たのは、D社とE社の行、そして比較の軸だけだった。5社をすべて調べ直すより、ずっと少ない手間で済んでいる。
この流れには、3つのポイントがあります。1つめは、安くて確実な段1を先に済ませることです。段1で印がついた所が、段2で重点的に見る場所を教えてくれます。2つめは、段2の照合が出典が残っていたからこそできたことです。出典がなければ、D社の情報源の違いには気づけませんでした。
3つめが、最も大事な点です。段3で見つかった「価格の列がない」という問題は、どれほど丁寧に照合しても見つかりません。表に書かれていることがすべて正しくても、目的に照らして足りないものは、書かれていないので照合のしようがないからです。人の目を段3に残しておく理由は、ここにあります。
11.5全部は見ない──重点と抜き取り
佐藤さんの比較表は5行でしたが、仕事によっては何十行、何百行にもなります。そのすべてを同じ深さで見るのは現実的ではありません。そこで、見る所を「重点的に見る所」と「抜き取りで見る所」に分けます。抜き取りとは、全体から一部を選んで確かめ、そこで問題がなければ全体もおおむね大丈夫だろうと推し量るやり方です。
重点的に見る所──間違いやすい所
間違いやすい所には、はっきりした傾向があります。第2章で見たとおり、作り話は「形はいくらでも作れるのに、正しい中身は1つしかないもの」で起きやすいのでした。固有名詞、数字、出典がその代表です。さらに、第9章で整理した失敗の型が出やすい所も重点になります。たとえば、方針を変えた後の部分(目標のずれが起きやすい)や、前の結果を土台にして作られた部分(誤りの連鎖が起きやすい)です。そして、「未確認」と書かれた所と、本来は未確認と書かれているべきなのに、ほかと同じ体裁で埋まっている所です。
抜き取りで見る所──間違いにくい所、すでに確かめた所
一般的な説明の文章、体裁、段1のチェックを通った部分、公式発表から取られ出典もそろっている行などは、抜き取りで十分なことが多いでしょう。
抜き取りで大切なのは、誤りが見つかったら、抜き取りの範囲を広げることです。抜き取りは「見つからなければ安心」の道具ではなく、「見つかったら全体を疑う合図」の道具です。1件でも誤りが見つかったら、同じ種類の箇所を全部見直すのが基本です。
| 区分 | 佐藤さんの比較表での例 | 理由 |
|---|---|---|
| 重点的に見る | 社名・サービス名、価格や開始時期などの数字、出典のリンク先 | 形はそれらしく作れるのに、正しい中身は1つしかない(第2章) |
| 重点的に見る | 情報源を代用したD社の行、取り違えかけたE社の行 | 方針を変えた所、取り違えが起きかけた所は、失敗の型が出やすい(第3章・第9章) |
| 重点的に見る | 「未確認」と書かれた所、要約の結論の部分 | 分からないことが残っている所。結論は表の誤りを引き継ぐ |
| 抜き取りで見る | 公式発表から取られ、出典と日付がそろっている行 | 段1・段2の材料がそろっており、誤りが入りにくい |
| 抜き取りで見る | 各社の一般的な事業説明、表の体裁や書式 | 間違えても影響が小さく、見ればすぐ分かる |
影響の大きさで、見る深さを変える
どこまで深く見るかは、間違いやすさだけでなく、間違えたときの影響の大きさでも変わります。第8章で見たとおり、取り返しのつく行動とつかない行動では、止める場所が違いました。確認も同じです。佐藤さんが自分用のメモとして使うだけなら軽い確認で足ります。上司に提出する表なら一段深く、社外に出る資料なら、さらに深く見る必要があります。
図11-3の右上、つまり間違えやすく、しかも影響の大きい所に、人の手間を集めます。左下は機械的なチェックに任せ、人はほとんど見なくてかまいません。こうして配分を決めておくと、「全部を見なければ不安」という気持ちと、「全部は見ていられない」という現実の間で迷わずに済みます。
11.6繰り返し任せる仕事は「問題集」を作る
ここまでは、1回の仕事をどう確かめるかを考えてきました。しかし実際には、毎月の競合調査や定例の報告のように、同じ種類の仕事を繰り返し任せることがよくあります。こうした仕事には、もう1つ備えておきたい仕組みがあります。
繰り返し任せる仕事では、仕組みの側が少しずつ変わっていきます。頭脳が新しいものに入れ替わる、使う道具が変わる、指示を書き直す。第2章で見たように、同じ頭脳でも答えにはゆらぎがあります。先月うまくいったから今月もうまくいく、とは限らないのです。
そこで役に立つのが、正解の分かっている例題を集めた「問題集」です。佐藤さんのチームなら、たとえば次のような例題が考えられます。
- 過去に人が確かめ、正しいサービス名と開始時期が分かっている会社の調査
- 似た社名の会社が検索結果に混ざりやすい会社の調査(正解は、別会社の情報を拾わないこと)
- 公式発表が見つからない会社の調査(正解は、ほかの情報で埋めずに「未確認」と書くこと)
この問題集を、定期的にエージェントに解かせ、答えを正解と比べます。採点にも11.2節の3段が使えます。サービス名や日付は段1・段2で機械的に照合でき、要約の質のような段3の部分は、採点の観点を決めて人が見ます。このように、正解の分かった例題で仕組みの出来を確かめることを、業界では「評価」と呼びます。
問題集のいちばんの価値は、図11-4のように、仕組みが入れ替わったときに同じ物差しで比べられることです。新しい頭脳が出た、新しい道具が使えるようになった、というときに、評判や発表の数字ではなく、自分の仕事の例題で「本当に良くなったか」「前はできていたのに、できなくなったことはないか」を確かめられます。
頭脳は入れ替わっていきますが、「自分の仕事で何が正解か」という知識は入れ替わりません。問題集は、モデルが変わっても使い続けられる資産です。新しい製品のニュースに右往左往せず、自分の仕事にとっての意味を落ち着いて判断する。その足場になるのが問題集です(第16章)。
問題集を育てるコツは、実際に起きた誤りを例題に加えていくことです。E社の社名の取り違えのように、一度起きた誤りは、また起きうる誤りの最良の見本です。また、時期によって正解が変わる例題(「最新のサービス」など)は、正解のほうを更新する必要があることも覚えておいてください。最初から立派な問題集を作る必要はありません。数問から始めて、仕事を任せるたびに増やしていけば十分です。
エージェント自身に「確認しました」と言わせれば、確認したことになる。
「確認しました」という言葉も、頭脳が机の上から組み立てた文章の1つです。第3章で見た「完了しました」と同じく、それはエージェント自身の判断の報告であって、第三者が中身を確かめた証拠ではありません。同じ頭脳が同じ机の上で見直しても、作ったときと同じ思い込みを繰り返しやすいことは、第7章で見たとおりです。
自分で見直させることに意味がないわけではありません。形式の抜けや明らかな矛盾は、見直しで拾えることがあります。けれども、それは「別の目」による確認の代わりにはなりません。確かめるべきは「確認しました」という言葉ではなく、何を、どの方法で確かめたのかが記録に残っているかです。作業記録を見て、実際に出典を開いた形跡があるかどうかを確かめてください。
確かめる人の「慣れ」──いつも正しいと、人は見なくなる
確かめる仕組みには、見落とされやすい弱点がもう1つあります。それは、確かめる人自身です。エージェントの結果が何十回も続けて正しいと、人はだんだん中身を見ずに通すようになります。「どうせ合っている」という気持ちが、確認の手を軽くしていくのです。自動化された仕組みを人が見守る場面では、昔からよく知られている現象で、自動化への過信と呼ばれることがあります。
やっかいなのは、エージェントの出来が良くなるほど、この問題が強まることです。誤りがまれになるほど、人は誤りを予期しなくなり、まれな誤りほど慣れた目をすり抜けます。確かめる仕組みがいちばん必要になるのは、めったに間違えなくなったときだとも言えます。
確認を形だけにしないために、たとえば次のような工夫が考えられます。
見る項目を決めておく。「ざっと見る」ではなく「出典・日付・固有名詞の3点を見る」と決めておくと、慣れても確認の中身が痩せにくくなります。何を見たかを一言残す。承認の印だけでなく「D社の出典を開いた」と書く習慣があると、形だけの承認が自分でも見えやすくなります。人に回す量を絞る。11.5節のように見る所を絞れば、1件あたりにかけられる注意が増え、慣れも進みにくくなります。
さらに一歩進めるなら、ときどき、わざと誤りを混ぜた例で確認の目を保つ方法もあります。11.6節の問題集の中から、誤りを含む答えを時々確認に回し、見つけられるかを試すのです。ただし、これは毎回やる必要はありません。チームで時々行う程度でも、「誤りは来うるもの」という感覚を取り戻すには十分です。現実的に続けられる範囲で取り入れてください。
確認確認問題
佐藤さんの比較表を確かめる項目のうち、「元の資料に当たれば確かめられる」(段2)にあたるものはどれですか。
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行の数や空欄は決まった手順で確かめられる段1、比較の軸が目的に合うかは人の判断が要る段3です。発表文との一致は、出典を開いて照らし合わせれば答えが1つに決まる段2にあたります。
点検役のエージェントに比較表を確かめさせるとき、最も適切な工夫はどれですか。
解説を見る
同じ頭脳に同じ情報を渡すと、同じ所を見落としやすくなります(第7章)。観点と渡す情報を変えることで「別の目」に近づけます。また点検役も誤りうるので、目的に合っているかの判断は人に残します。
繰り返し任せている調査の仕事で、新しい頭脳に切り替えるかどうかを判断する方法として、最も適切なのはどれですか。
解説を見る
発表の数字は自分の仕事での出来を保証しません。自己評価も確認の代わりにはなりません。正解の分かった例題(問題集)で新旧を比べれば、良くなった所と悪くなった所を自分の仕事の物差しで確かめられます。
この章のまとめ
- 「完了」はエージェント自身の判断にすぎず、失敗は前提。確認はなくせない。目的は、確認の手間を効く場所に集めること。
- 仕事の中身は「機械的に確かめられる」「元の資料に当たれば確かめられる」「人の判断が要る」の3段に分けられる。作るより確かめるほうが簡単な仕事ほど任せやすい。
- 確かめ方は「人が見る」「別の方法で確かめる」「点検役」の3つ。どれにも苦手があるので組み合わせ、人の目は判断が要る所に残す。
- 見るのは結果・根拠(出典)・過程(作業記録)の3つ。出典と取得日を残させ、未確認は未確認と書かせることで、確かめられる形にしておく。
- 全部は見ない。固有名詞・数字・出典・失敗の型が出やすい所・未確認の所を重点に、残りは抜き取りで。見る深さは間違えたときの影響で変える。
- 繰り返し任せる仕事には、正解の分かった例題の「問題集」を作る。頭脳や道具が変わっても同じ物差しで比べられる、使い続けられる資産になる。